「スーパーボウルは真に環境に配慮したイベントとなれるか」

 現地時間2月11日に開催されたスーパーボウル。スポーツと地球環境・気候危機の関係を問う1つのモデルともなったようだ。
 会場の電力は全て太陽光発電で賄われる取り組みも見られた一方、観客の移動、セレブのプライベートジェット使用、会場外でのテレビの電力消費など、まだ課題も多い。しかし、スーパーボウルには、環境や気候の問題で分裂する現在の世論をまとめ上げる力がある可能性もほのめかされている。

 以下、関連する記事。なお、見出し画像も同記事からの引用である。
Can the Super Bowl Really ‘Go Green’? Football Teams Say Yes


insideclimatenews.org
By Kiley Price
February 13, 2024

 以降に日本語訳を載せておく。なお、自動翻訳を私が確認・修正する形で行ったものである。

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スーパーボウルは本当に「環境にやさしく」できるのか?フットボールチームはYESと。


今年のスーパーボウルが開催されたスタジアムは、すべて太陽エネルギーで賄われていたと関係者は言う。この動きは、会場の外にもさらに広がる深い意味を持ったものである。

 週末には、サンフランシスコ・49ers対カンザスシティ・チーフスを観戦するために、ラスベガスのアレジアント・スタジアムに6万人以上の人々が詰めかけた。
 会場のエネルギーは、あらゆる意味で高かった。180万平方フィートのスタジアムは全体に空調管理が施され、最前列の席に座れないファンのために2,200以上のスクリーンが設置されている。環境コンサルティング会社NZeroによると、スーパーボウルサンデーの祭典には、全体で、約46,000世帯が自宅で試合を観戦するために必要な電力に相当する約28メガワット時の電力消費が見込まれている。
 しかし、ラスベガス・レイダースから施設の排出の監視を請け負う同社によれば、今年は、アレジアント・スタジアムに電力を供給する電力のすべてが再生可能エネルギーで賄われているとのことだ。レイダースによれば、より具体的には、その大部分はラスベガス郊外の砂漠でパネル621,000枚の太陽光発電所を運営するNVエナジーとの契約パートナーシップに基づき調達された。
 「この成果は、スポーツでの持続可能性の新時代の象徴だ」と、ラスベガス・レイダースのサンドラ・ダグラス・モーガン社長は声明で述べている。
 ノースカロライナ州立大学でスポーツと持続可能性を研究するジョナサン・キャスパー(Jonathan Casper)氏は、スタジアムに供給されるすべての電力が、ラスベガスの送電網に電力を供給する他のエネルギー源ではなく、その太陽光発電から送電されたものかどうかを確認するのは難しいとグリストに語った。しかし、ゲーム中に使用されたエネルギーの量は、少なくともソーラーファームからの生成量とほぼ同じだったようだ、と彼は付け加えた。
 ここ10年間で、NFLのチームに対し環境への排出の削減を求める声が高まっている。アレジアント・スタジアムは、LEED認証を取得した7つのNFLスタジアムの1つである。節水型トイレからエネルギー効率の高いLED照明まで、一連の持続可能な改修が施されているのだ。昨年、アトランタ・ファルコンズのメルセデス・ベンツ・スタジアムは、埋め立てていたごみの少なくとも90%を再利用することで、「廃棄物ゼロ認証」を取得した最初のスポーツスタジアムとなった。9月には、フィラデルフィア・イーグルスは、水と太陽光発電のみで燃料電池自動車や一連の設備に電力を供給する新しいグリーン水素ステーションをリンカーン・ファイナンシャル・フィールドに設けると発表した。
 リーグレベルでは、NFLグリーンプログラムは30年前に開始された。そのねらいは、残り物の寄付、地元の埋め立て地からの廃棄物の転用やリサイクルといった活動を通じ、リーグ全体のイベントを開催する各コミュニティに「グリーン」レガシーを創出することだ。
 「何十年にもわたる干ばつとヒートアイランド現象からの重大な影響を経験しているラスベガスで最も求められるのは樹木である。」とNFLグリーンディレクターのスーザン・グローはフォーブスに語った。
 他のスポーツも、この気候アクションに参加した。英国のサッカークラブが「ビーガン・マッチデー」を開催したこと、一部のゴルフコースが干ばつに強い芝生に切り替えて水の使用量の削減に取り組んでいることがその例だ。
 2022年の研究(下記※)によると、気候変動は野球選手がより多くのホームランを打つ手助けとなっている可能性があるとはいえ、屋外スポーツをする人々は、気温上昇に関連する健康リスクに対して特に脆弱だ。そのため、スポーツによる二酸化炭素排出量を削減する取り組みが、スポーツが今後長く存在するために欠かせない可能性があると報告書に記載されている。
 悪いニュースは?スポーツ関連の排出量の大部分は施設外に由来している。ニューヨーク・タイムズ紙は、スーパーボウルの期間中、テイラー・スウィフトをはじめとするセレブリティの参加者を乗せた約1,000機のプライベートジェットがラスベガスの空港に着陸する可能性が高いと予測した。(この歌手は、過去にジェット機を使用する習慣で反発を受けており、最近では、公開データを使って彼女のフライトとそれに関連する排出量を追跡している個人を訴えると脅したと、ワシントン・ポスト紙は報じている。)
 「航空輸送からのこのような大規模イベントの排出レベルやエネルギー使用量は、平均で見込まれる1日あたりの量の少なくとも2倍になる」と、ネバダ大学ラスベガス校の公共政策持続可能性の助教授であるベンジャミン・レフェルはニューヨーク・タイムズ紙に語った。その上、ゲームの前後には車で道路が渋滞し、何時間もアイドリングする人もいた。これにより、車両の停止・始動を繰り返すよりも多くの排出ガスを放出される可能性がある。また、全国の家庭やバーでエネルギーを消費するテレビで試合を観戦した1億2,300万人以上の人々に関連する排出量も考慮されていない。
 スーパーボウルのようなスポーツイベントが真に「グリーン化」できるようになるまでには、まだ道のりがあることは明らかだ。しかし、こうして再生可能エネルギーによりスーパーボウルを開催する最も重要な気候上の恩恵は、試合自体からの実際の排出量削減ではなく、このスポーツがクリーンエネルギーを導入する意義にあるかもしれないと専門家は言う。
 「持続可能性と気候変動をめぐる分裂が進む中、スーパーボウルのようなイベントの開催は、環境への配慮を示すことがそれほど悪いことではないと反対する層に対し認識してもらうのに役立つ可能性があることを示している。」と、ノースカロライナ州立大学のスポーツと持続可能性の専門家であるキャスパー氏は、Inside Climate Newsに電子メールで語った。

(※)
要は、気候変動で高温多湿になればボールがよく飛びホームランが増える可能性があるということのようだ。

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