スポーツはどれだけCO2を排出する?

今後の気候危機解決に重要な役割を担うスポーツ。そのスポーツは、気候危機の被害者であるだけでなく、加害者でもある。選手や観客の移動、施設の建設、水分補給の飲料やその容器のペットボトル…考えられるだけでも多岐にわたり、CO2排出だけでなくマイクロプラスチックの排出や地下水脈の枯渇にも寄与している。

では、スポーツによる環境負荷、具体的にはCO2排出量は、数値化するとどのくらいになるのだろうか??

調べたら、海外記事で2つ見つけた。これらに書いてあった具体的数字を示したい。

What is the Carbon Footprint of Sport? 
February 2023 by Saaniya Sharma

ここに書いてある排出量は以下の通り。
・グローバルなスポーツ産業の規模:$600B(6,000億ドル)
・ここから推定されるCO2排出量:350Mトン(3億5,000万トン)

・2022年のサッカーW杯でのCO2排出量:3.63Mトン(363万トン)
 そのうち95%は間接的な排出(移動で1.9Mトン、宿泊で728,403トン)
・2021年のマンチェスター・ユナイテッドのCO2排出量:1,297トン
・世界のフットボール界の排出量:年間30Mトン(3,000万トン)以上
 デンマークの排出総量に相当

・東京オリンピック2020のCO2排出量:1.96Mトン(196万トン)
 うち大半が選手の移動に伴う排出
 無観客になったために800,000トンの排出量が減った

・2019年のF1のCO2排出量:256,551トン
 うち45%がロジスティクス(車や備品の輸送??)、27.7%がビジネストラベル
 2020年には155,104トンに減少

・スポーツ施設のCO2排出量:自治体の排出量の40%
バッキンガムシャー(イギリスのカウンティ)にあるテニス施設・フィットネスセンターの2019年の排出量は121トンで、100世帯以上の電力供給と同じ水準。

・2018年のドイツでの研究によれば、個人競技の年間平均CO2排出は1,006㎏、団体競技は514㎏。最大がスカイダイビング(2,841㎏)、次いでゴルフ(2,195㎏)
・平均的なアメリカのゴルフコースの年間CO2排出量は796,577トン

ARTICLE 02.02.2023
A thought experiment: Estimating global sports’ total carbon emissions
BY:DAVID GOLDBLATT

ここに書いてある排出量は以下の通り。なお、国家レベルの排出量との比較も書いてある。
 
・国際スポーツイベントからのCO2排出の合計:年間10Mトン(1,000万トン)
・MLB、NHL、NFL、NBA、MLSの排出量の合計:5Mトン(500万トン)
 うちMLBは2Mトン超、NHLは0.7Mトン
・さらに、以下の各種スポーツ(観客を含める)と、排出量の合計は年間30Mトン
 上記のスポーツのマイナーリーグ、女子リーグ、カレッジスポーツ
 中国、日本、韓国、メキシコ、ベネズエラの野球リーグ
 インド、オーストラリアのクリケットリーグ
 ゴルフツアー(ヨーロッパ、アメリカ、アジア)、テニスのATPツアー
 モータースポーツ(F1, NSCAR, Moto GP)
 自転車競技(ツールドフランスなど)
 
ただし、草の根レベルのスポーツ、スポーツ中継、スポーツウェア産業は含まれていない。

●スポーツイベント・国の年間排出量比較:どれと同じか?
・1Mトン(100万トン):イングランドのプロサッカー=ブルンジ
・3.6Mトン(360万トン):2022年カタールでのサッカーW杯=ナミビア
・10Mトン(1,000万トン):国際サーキット競技の推計=コートジボアール
・20Mトン(2,000万トン):プロリーグの合計の推計=ボリビア
・30Mトン(3,000万トン):スポーツ全体の合計(低く見積もって)=キューバ
・300Mトン(3億トン):スポーツ全体の合計(高く見積もって)=ポーランド

**************************
現状では、スポーツだけでも小~中規模国と同等のCO2排出量があるようだ。これをどう削減していくのか?ここにもスポーツが先導的役割を果たす余地がありそうに見える。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です