気候変動のグローバルニュースより(2023.6)

 気候変動に関するグローバルなニュースを見ると日本ではわからない実態や影響が色々見えてくる。今回は、ここ半月ほどのニュースから3つを取り上げ、その日本語の概略を紹介する。
テーマは、いずれも干ばつや水不足に関連するものだ。

Solar Is Booming in the California Desert, if Water Issues Don’t Get in the Way
By Wyatt Myskow
June 26, 2023

Solar Is Booming in the California Desert, if Water Issues Don’t Get in the Way - Inside Climate News

DESERT CENTER, Calif.—Solar farms stretch out mile after mile along Interstate 10 around Palm Springs, creating one of the densest areas of solar development i…

・カリフォルニア州の乾燥地帯にあるデザート・センターは、太陽光がほぼ限りなく得られるだけではなく送電線、アクセス道路、高速道路が付近に整備されていることから、全米で太陽光発電施設が最も密集して整備された地域の1つである。そこで課題になっているのが水の確保だ。
・複数の太陽光発電施設の開発以降、地域の井戸は干上がってしまい、何百人の住民や事業所が頼りにする唯一の井戸も危機に瀕している。
・太陽光発電は、稼働中は水をそれほど必要としないが、建設中には発生する塵による住民の健康被害を防ぐため水が必要となる。
・デザート・センターや類似するカリフォルニアのコミュニティでは、地下の帯水層が唯一の飲料水の水源だ。その帯水層の枯渇が続いている。地下の帯水層の水は川や湖の水とは異なり可視化できない課題がある。
・帯水層はどんどん深くなり、井戸を掘るコストやポンプの稼働コストも上昇する。井戸ポンプの電気代が1か月で15ドル~1,800ドルに跳ね上がった例もあった。
・住民は、開発事業者は水の確保、保全やコミュニティの維持を気にかけていない、と批判。雇用創出や地域経済の浮揚といった開発による利益はわずかで、健康に有害な砂嵐、建設による騒音、付近のパネルからのまぶしさや暑さ、繊細な生態系の破壊、生物の住みかとなっていた植物の移植、住宅価格の下落、水不足といった、開発の弊害に耐え続けているとしている。
・エリアでは20,000エーカーがソーラーゾーンとして開発されたが、まだ120,000エーカーの開発の余地があり、さらに水を必要とする太陽光発電プロジェクトも予定されている。

Putting salt in tap water and drilling wells in parks: one country’s desperate quest to avoid running dry
By Jack Guy, CNN
Updated 6:01 AM EDT, Mon June 26, 2023
https://edition.cnn.com/2023/06/25/americas/uruguay-water-crisis-climate-intl/index.html

・ウルグアイでは干ばつや高温が数年続いた結果、住民は塩の入った水道水を飲まざるを得なくなり、首都モンテビデオの中心部では何本もの井戸が掘られている。6月1日、Luis Lacalle Pou大統領は、「首都圏の水非常事態宣言」を出した。
・ここ数週間、ウルグアイの公共水道事業組織であるOSEは、飲料水の塩分濃度に関する通常の基準の例外措置を適用のうえ、ラプラタ川河口の塩水をPaso Severinoダムの水に混ぜている。
・現在塩水が混ぜられているモンテビデオの水道水は、塩辛くて飲めたものではない。また高いレベルで塩素、ナトリウム、トリハロメタンが入っている。
・公衆衛生大臣のKarina Randoは、ほとんどの人にとって健康のリスクはない一方で、高血圧症、腎臓病の人や妊婦は飲用を大きく制限するか完全に避けるよう記者会見で述べている。また、子どもの食事には塩を入れず、粉ミルクにはペットボトルの水を使うよう勧めている。
・5月にはペットボトル入りの水は前年比の224%になった。小売業者は需要の急増への対応に苦労し、プラスチック廃棄物の量は大幅に増加した。しかし、多くの住民はボトル入りの水を買う余裕がなく、塩の入った水道水を使わざるを得なくなっている。
・水源をみると、カネロン・グランデ川は歩いて渡れるほどになり、過去最低の推移のPaso Severinoダムは7月に枯渇する見通しだ。
・ウルグアイは、2004年の憲法改正で水へのアクセス権を盛り込んだ最初の国だ。その国で水へのアクセスを守れというデモ活動が起きているほか、水不足による人口移動も起きている。
・ラテンアメリカで水不足に苦しんでいるのはウルグアイだけでない。アルゼンチンも過去最悪の干ばつに苦しんでいる。科学者たちは、「水不足の主因は気候変動ではないが、気候変動のためにその影響がさらに深刻なものになっている」としている。

An ‘unprecedented drought’ is affecting the Panama Canal. El Niño could make it worse.
Tara John
By Tara John and Taylor Ward, CNN
Published 5:12 PM EDT, Tue June 13, 2023
https://edition.cnn.com/2023/06/13/americas/panama-canal-water-levels-climate-intl-latam/index.html

・前例のない干ばつがパナマ運河の水供給に影響を及ぼし、通過する船舶に対し当局がサーチャージや重量制限を課す事態になっている。
・7月には(運河を構成する)湖の水位が史上最低になる予測で、ここ数か月にわたる最も厳しい喫水制限に加え、水の保全策に当局は動いている。減少を続ける湖水はパナマ市をはじめとする周辺の水源となっている。
・パナマをはじめとする中央アメリカの大部分がここ数か月深刻な干ばつに見舞われる一方、エルニーニョが事態を悪化させ始めている。今年はエルニーニョによる気温上昇が見込まれ、2023年か2024年には史上最高の気温になる可能性がある。

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