数字からみた気候変動とその対策の現状-COP28を前に

 COP28開幕を前に、世界の気候変動やその影響、対策の進行はどうなっているのか?CLIMATE HOME NEWSによる以下のまとめ記事があった。

In numbers: The state of the climate ahead of Cop28
Published on 22/11/2023, 4:28pm

「年間排出量はピークアウトした可能性もあるが、ネットゼロに達するまで気温の上昇は続く」これがまとめだ。

 上記記事には、各種データソースや報告書へのリンクも豊富に載っている。そして、現在の状況を示す科学的かつ具体的な数字やデータがいくつもあった。これを紹介しておこう。

・Climate Analyticsや国際エネルギー機関(IEA)のレポートによれば、2023~2025年にCO2排出量はピークを迎え、その後減少に向かう見方が有力になっている。前者は70%の確率で2023年にピークアウト、2024年以降減少との見方をとっている。ただし、米国エネルギー情報局は、交通部門からの排出量増加により、増加が継続するか高止まりになると予測している。

・それでもなお、CO2排出量は依然増加を続ける。2022年は史上初めて産業革命前との比較で50%増となった。メタンや亜酸化窒素の濃度も上昇している。

▲産業革命前と比較した各種温室効果ガスの濃度の変化(出典は上記引用記事)

・世界は今や19世紀後半と比較して1.25℃温暖化している。UNEP(国際連合環境計画)の見通しでは、現在の排出ペースだと21世紀の気温上昇は2.5~3℃とされている。

・Lancet medical journalの研究によれば、気候変動により1980年代、90年代、2000~2009年と比較して、世界の飢餓者は1.27億人増加した。蚊がデング熱を媒介する可能性は25%増え、海水温が上昇する中、14億人にビブリオ属の細菌に感染する危険がある。

・保険会社Swiss Re saysは、嵐・洪水・山火事により財産を失う人が増加するとしている。

・これまでになく気候変動への適応が重要となるが、UNEPの報告書によれば、途上国が受けた2021年の気候適応の資金は2020年より減少している。1,940億~3,660億ドル必要と見積もられるのに、210億ドルだけだ。

・世界の化石燃料への投資額は依然1兆ドルを超えている。これは、IEAが「1.5℃目標」と整合するとした金額の約2倍だ。アメリカ、ブラジル、サウジアラビア、ロシア、カタールは石油やガスの生産を、インドは石炭の生産を増やしている。

▲化石燃料(石油、石炭、ガスの合計)の投資額の変動見込み:2021年~2030年
 (出典は上記引用記事 単位は、原典に記載はないが%とみられる)

・IEAは化石燃料の需要はピークに達したか達しつつあるとしているが、1.5℃目標には不十分だ。IEAは、化石燃料へ投資を続けるのは環境面だけでなく経済合理性からもばかげているとしている。

・ここ数年は、クリーンエネルギーへの投資が化石燃料を上回り、その差は拡大している。

・5年前は2%だった電気自動車の割合は今や10%を超えつつある。世界資源研究所の予測ではもう10年すると100%に近づくとしている。電気自動車普及により石油需要を大きく減らし世界の排出量の10%を占める道路交通からの排出を削減できる。

・電気で稼働しガスボイラーより3倍効率的なヒートポンプの需要は、ヨーロッパで40%、世界で10%増加した。

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